愛知県議会 > 2022-09-12 >
令和4年福祉医療委員会 名簿 開催日: 2022-09-12
令和4年福祉医療委員会 本文 開催日: 2022-09-12

  • "失業"(/)
ツイート シェア
  1. 愛知県議会 2022-09-12
    令和4年福祉医療委員会 本文 開催日: 2022-09-12


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 令和4年福祉医療委員会 本文 2022-09-12 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 14 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  【新行内参考人選択 2 :  【岡 明彦委員選択 3 :  【こころ健康推進室長選択 4 :  【新行内参考人選択 5 :  【岡 明彦委員選択 6 :  【谷口知美委員選択 7 :  【新行内参考人選択 8 :  【谷口知美委員選択 9 :  【中村竜彦委員選択 10 :  【新行内参考人選択 11 :  【中村竜彦委員選択 12 :  【新行内参考人選択 13 :  【中村竜彦委員選択 14 :  【こころ健康推進室長】 ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1: 《参考人意見陳述》 【新行内参考人】  自殺対策について話をさせていただきます。  東京メンタルヘルス・スクエアの新行内勝善です。  略歴、プロフィールなどはお手元の資料を御参照いただければと思います。  現在は、東京メンタルヘルス・スクエアSNS相談自殺防止ではSNS、LINEなどによる相談を中心に行っています。あと子供たちに関してはスクールソーシャルワークで、千葉県のほうですが、そこでスクールソーシャルワーカーとして活動をしています。  本日の内容として、四つ話をします。  全国的な自殺傾向、そして、二つ目としてその傾向から特徴や課題、三つ目として対策四つ目は、本団体での取組についての紹介をします。  まず、一つ目の全国的な自殺傾向です。  初めに、令和2年と令和3年のところで説明をします。その後に全体的な推移も説明したいと思います。  令和2年、2020年ですので、新型コロナウイルス感染症が広まったときのものです。令和2年で前年より自殺者が増えており、そこに書いてあるように、女性子供で特に顕著に増えています。  男性は11年連続減少したものの、女性は2年ぶりに増加女性は6月から7か月連続増加するなど、過去5年で最多です。  あと、もう一つ、小中高生、これも昭和55年以降で最多となっています。  次が2021年ですので、昨年の全国的な傾向です。  女性については2年連続増加です。若者も高止まりしています。  原因動機別では健康問題。これは健康問題が一番原因動機別で多いというのは、この何年かの傾向というよりは、もう一貫した傾向としてあります。健康問題というのは、やはり多いのは鬱病です。全国的な傾向です。  これは令和3年です。  これは愛知県の先ほどのデータと同じですが、赤いほうが女性、青いほうが男性です。女性のここでの伸び、昨年、一昨年で伸びが大きいというところです。  自殺死亡率データです。死亡率というのは、10万人当たりで出したものです。自殺死亡率は、10万人中16.8人です。これが多いか少ないかというのは、世界で日本がどれくらいの位置かというところ、また後ほどのデータで説明したいと思います。  先ほどの自殺者数と同じように、やはり自殺率伸びている、増えているという状況です。
     自殺死亡率です。これは日本のものです。ここにあるのが日本で、こちらは赤いほうが男性死亡率です。  左上のほうが諸外国の中で先進国自殺死亡率です。一番左側が日本データです。その次がアメリカのデータです。どこの国においても、男性自殺死亡率のほうが女性より高くなっています。それ以外のところですけれども、左下のところが自殺死亡率。一番高いのが、韓国です。10万人当たり26.9人です。日本は青いラインで示しています。16.1人です。  右上のほうが男性です。男性は、一番高いのがリトアニアで10万人中41.5人。日本が下から5番目ぐらいにありますが、22.9人です。男性です。  男性死亡率と比べると、女性が半分ぐらいでありますが、日本特徴として、一時期は男性死亡率男性死亡者数が多かったです。  その右下女性データです。韓国が一番多くて10万人中15.8人、日本が9.7人で2番目に高い数値となっています。これは、2018年、2019年のデータですので、最新のデータだともう少し変化してきているところもあると思います。  次は、月別自殺者数です。  ここが、上がっていますけれども、これは令和2年です。2020年のものです。  月別で見ていくと、先ほどの愛知県のデータとも同じようなところはありますが、3月が自殺者数としては高くなっています。  自殺者数がやはり増えるのは、3月、年度末です。変化の時期でもありますし、一年の終了で、何か物事の整理というか、けじめというか、そういったところで、やはり自殺者数が増えてしまうのかなと思います。  次は、年齢階級別自殺者数推移です。  令和3年は令和2年と比較して、20代、40代及び50代の階級増加しています。僅かな違いではありますが。  増加した年齢階級の中では50代が最も大きく増加しています。減少した年齢の中では60代が最も大きく減少し、158人の減少です。  次は、年齢階級別自殺死亡率です。  ラインの中で濃い青のライン、そこが令和元年から令和2年、令和3年と顕著に増えているのが見てとれると思います。自殺死亡率です。  濃い青のラインというのが20代です。そこで自殺死亡率が増えている。  あと、下の赤いラインです。死亡率自体はほかの年齢階級と比べると、10代の自殺死亡率というのは高くはないが、新型コロナウイルス感染症で増えているのが一番下の赤いラインで、これは10代です。10代と20代が特に自殺死亡率というところでは、やはり増えています。  職業別自殺者数です。  令和3年、昨年、無職者、被雇用者・勤め人、学生・生徒で減少令和2年と比べた場合です。自営業、家事従事者などで増加しています。最も無職者減少しているというところです。  この減少のところで、新型コロナウイルス感染症特徴というところで、この後の資料で見てもらえればと考えていますが、やはり女性で増えた。自殺者の中では、勤め人、職に就いている女性自殺が増えているというデータもあります。また後ほど説明します。  次は、自殺原因です。  自殺原因というのは、よく言われるように複合要因です。一つの要因ではなくて、幾つもの要因が重なって、平均三つあるいは四つ以上の要因が一つ自殺には関連していると調査では分かっています。  それぞれ、簡単に言いますが、男女問題です。例えば、失恋とか、交際の悩みです。経済・生活問題だと、生活苦、多重債務。  右下へ行きますけど、健康問題では鬱病が多いですが、体の疾患もあります。そして、家庭問題では、夫婦関係の不和、家族の将来悲観です。あと、勤務問題では、仕事の疲れや職場の人間関係。あと、学校です。いじめがやはりニュースとしてはよく出てくるところでありますが、実際には、学業不振であったり、進路の悩みを苦にしての自殺というのが統計上では多いです。  これらの複合要因が合わさって、自殺行動に至ってしまうのではないかと調査で分かってきています。  次は、自殺原因動機別です。複合要因、いろいろな要因が絡まっているということです。  最初のほうにも言いましたけれども、自殺原因動機別、死人に口なしというか、残された資料などを基に推定したものでありますけれども、自殺原因として一番多いのは、この黄色のところにある健康問題です。特に鬱病です。  令和2年、令和3年における各都道府県別の年間自殺者数です。この左の青いライン令和2年で、赤が令和3年です。都道府県別の年間自殺者数だと、人口に比して、やはり東京都が多いですが、愛知県はここです。  都道府県別、発生地別の年間自殺死亡率です。発生地別でいうと、ここの山梨県が一番多いです。これは居住地ではないです。富士山のところの青木ヶ原樹海です。警察庁のデータですので、発生地別のものです。  新型コロナウイルス感染症のところで、特に小中高生の自殺者数が多いというデータがありますが、小中高生全体のラインが上のこの黄緑のところです。点線のところが高校生です。この明るい緑のところが中学生、一番下が小学生です。  小中高と増えていますが、ともにやはり令和2年、令和3年と増えています。令和3年で若干減った、あるいは高止まりの状況です。  よく言われるところですけれども、子供自殺者数、数というところでは、やはり大人に比べると子供のほうが少ないということではありますが、年代毎の死亡順位別に見たところでいうと、第1位。これは10代から30代、15歳から30代までは、死亡順位別に見たところでは、自殺が一番多いです。日本では。  この死亡率は、先ほどの10万人当たり死亡率です。日本だと17人ぐらいが平均ですけれども、これは割合です。その世代の中で、自殺が占める割合です。  若い世代ほど自殺で亡くなる人が世代の中で占める割合が高くなっています。10代においても第2位となっています。自殺で亡くなってしまうのです。  そうすると、これを世界の各国と比べるとどうかというところですが、日本自殺、10代、20代の死因の上位3位です。第1位にきているのは、日本韓国です。先ほどの世界の自殺率データでも、韓国がかなり高くなっています。  ほかの国々も自殺死亡率を見ていくと、1位のところにはないです。  こちらが20代です。20代においても、やはり日本韓国、その世代の死亡順位の中で、自殺が1位にきています。アメリカなどほかの国では不慮の事故のほうが多いですが、日本では自殺が多くなっています。  以上が日本全体で見た自殺傾向、特に新型コロナウイルス感染症以降、2020年、昨年のところを少し傾向としては変わってきているというところを話しました。  そういった傾向から特徴や課題としてどういったものがあるのかというのを、続いて説明します。  1番目、大きく幾つか挙げていますけれども、まず、学生・生徒の自殺増加というのがあります。これは令和元年令和2年のデータですが、社会全体というのがこの折れ線グラフ、青い折れ線グラフです。児童生徒がこの灰色の棒グラフです。その上に積み重なっているピンクの棒グラフというのが大学生です。令和元年令和2年です。  社会全体としては、自殺者数は減ってきています。令和2年、少し増えていますが、学生、子供たちはこの辺り、平成28年あたりから増加傾向にあるというところです。社会全体とは別に増加傾向にある。  こちら、過去5年平均と令和2年度との自殺者数月別推移。これは学生・生徒です。  過去5年平均。5年平均だと、子供自殺が最も多いのは、9月1日であるというデータが何年か前に発表されましたが、8月、9月というのが子供たち自殺者数としては、過去5年で一番多いです。  要因は幾つか考えられるかと思いますが、夏休みということで年間の中で最も休みの期間が長い。  この後、新型コロナウイルス感染症のところでの自殺傾向についても見ていきますが、自殺者数が増えたのが、2020年は6月に増えています。この6月に増えたのは、緊急事態宣言が明けて、学校が始まった頃です。  だから、休み明けがやはり子供たちにとっては変化が大きく、その変化の中で悩んで死を選んでしまうという人が増えているというデータがあります。  この資料は、皆さんの手元に配っているのには入っていないですが、先ほど言ったものです。これは、児童生徒の自殺者数推移と学校状況で、2020年のデータです。  ここで、緊急事態宣言、5月25日に全国的には解除されます。その後に学校が再開される頃に自殺者数が増えています。ここもやはり大きな変化、学校が始まるという。  私どもがやっている自殺相談においても、やはり子供が学校を再開して、そのときに亡くなってしまったということで、非常に後悔し、悲しんでいる親御さんからの相談がありました。  ただ、その人の相談があったのは秋以降です。5月ぐらいに、お子さんが学校再開の頃に自殺していますが、やはりその悲しみを相談できる状態になるまでには、他者に話すことができるまでにはいろいろ心の紆余曲折があって、秋以降にそのお母さんは相談に来ています。  あと、夏休みの間も自殺者が増えています。  7月18日のところにラインを引いていますが、先ほども話があったと思います。これは男性の30歳の俳優で自殺で亡くなった日が、7月18日です。  これは夏休み明けですが、ここでも二つの山がありますが、9月14日、これは36歳の女優、モデルが自殺で亡くなったと報道されたところです。ここでもやはり自殺者数が増えています。  ここは最も有名な40歳の大人気の女優ですが、9月27日に亡くなっていますが、そのときにやはり増えています。  あと、11月ぐらいに山がありますが、これは例年の傾向でもあると言われています。  自殺子供たち原因ということで、学業、進路というのが原因としては大きいという話をしましたが、この辺りから学業、進路のことで、問題というか、悩みというか、課題が見えてくるところで、増える傾向があります。  コロナ禍で若者の自殺が増えた背景はというところで、データを見てきましたが、これは防衛大学校の先生でもある高橋聡美先生ですが、コロナ禍で若者の自殺が増えた背景はというので幾つか指摘しています。  ハイリスクの若者がよりハイリスクにというのが一つあるのではないかと思われます。  日本では1998年でしたが、バブル崩壊後、自殺者数が3万人を超えて高止まりしている状況がありました。特に中高年男性、あるいは失業者、無職の男性自殺が増えてきて、それ以降、自殺対策となると、職場のメンタルヘルスに力点が置かれて、職場のメンタルヘルスですので、主に中高年、あるいは高齢の男性向けの自殺対策というのがされてきています。  なかなか若者であるとか女性に対しての対策はされてこなかったというのがあります。そういった対策が脆弱なところに新型コロナウイルス感染症による危機が襲ってきた。  あと、家庭問題です。虐待、DV、ヤングケアラー。これはやはりコロナ禍で、家で子供たち、あるいは大人、親、外に出られない状況がありましたので、やはり家庭の密度が濃くなって、家庭問題でさらに悪化したというのがあった。  あとは、貧困問題や相談窓口の不備。こういったコロナ禍でハイリスクの若者がよりハイリスクになったというのが一つあるのではないかという指摘です。  もう一つが、特にリスクが高くなかった、リスクの低い若者も、ハイリスクになってしまったというのがコロナ禍であったのではないかという指摘です。メンタルヘルス上のリスクを負いやすい状況になっている。ストレス解消ができない。要は、コロナ禍で閉じ込められてしまうというか、身動きが取れないというか、外に出たり活動したりしてのストレス発散、あるいは友達と話したりということが制限される中で、ストレスの解消ができない、会いたい人に会えない、睡眠リズムが崩れるなど、こういった状況でリスクがそれほど高くなかった若者もハイリスクになったという指摘があります。  先ほど、全体の自殺原因一つではなく、複合要因であるという話をしましたが、子供の場合、これはやはり高橋聡美先生の指摘ですが、小中学生の頃からの問題。子供たちというのは、やはり自分自身だけではなくて、小さければ小さいほど家庭の影響が大きいというのがあります。  小学生の頃から家庭、あるいは学業、いじめ、トラウマ、こういったことは小中学校の頃から問題が起こっていて、だんだん複雑化していく。複雑化していくというのは、やはり子供たちでかなり大きな変化というのは、中学生に上がるときの変化というのもあります。あとは、思春期で心も体も大きく変化を遂げるというので、非常に複雑化して生きづらさとなってきて、高校あたりになると心も体のほうはもう大人と同じようになってきていますので中学生ぐらいからあるのですが、高校生ぐらいになると特に精神疾患、大人と同じような精神疾患にかかります。鬱病もそうですし、統合失調症も。早ければ、中学生ぐらいからそういった精神疾患になってしまう人もいます。  あと自殺原因です。  見てきたように、いじめが主な原因ではないです。複合要因ですので、いじめも大きな要因になっていることもありますが、主な原因としては、統計上、小中学生の自殺原因では、家族からの叱責です。中学生は学業、高校生は進路です。  当然といえば当然でありますが、全て大人が関わっている。子供たちは自分で決めることができないので、大人、親、先生と相談したりしつつ、家庭の状況であったり、親の意向などもあるかと思います。あるいは親の期待もあれば、子供から親に対する期待もあると思います。  ですので、子供たち自殺については、やはり全て大人が関わっている。相談しても相手にしてもらえず、子供たちは死んでいる。これは高橋聡美先生の指摘ではあります。  やはり相談現場の中では、相談してくれたらいいのにとか、学校の先生であれば言ってくれればいいのにという話はよく聞きますが、子供たちは何らかのサインを発していたりしますが、大人たちがそのサインを過小評価、そんなの大したことないよとか、そんなの気にし過ぎだよとか、おまえも悪かったんじゃないのかとか、大人からするとあまり大事と捉えずに、あるいは、時には、子供自身が悪いような言い方をしたりして、そうなると、相談したサインを発した子供としては、大人に言っても仕方ないとか、大人は信用できないとか、分かってもらえないということで、シャッターを下ろしてしまうというか、口を閉じてしまう。そうなると、SOSを出さなくなりますし、SOSを発見しようがなくなってしまうということがあります。  これは私たちのような相談機関でやっている場合、そういった相談が多いということがあるので、全ての子供たちがそういうわけではないと思いますが、私どものような自殺対策相談に来ている子供たちは、やはりどこかで相談していたが、うまくSOSをキャッチしてもらえなかった、うまく対応してもらえなかったというのが多いです。  もう一つは、女性自殺増加です。  これは前年度との比較です。過去5年平均との増減率です。これは2020年3月に新型コロナウイルス感染症の影響で、全国一斉休校でありましたが、第1回目の緊急事態宣言が終わる頃までは、自殺者数は過去5年と比べて減っています。しかし、その後に増えてしまっているというところで、なおかつ、このピンクが女性ですが、女性が増えているというのがありました。  特に私たちの相談現場でも2020年の8月は、SNS相談で、緊急対応というのがありますが、緊急対応というのは私たちのところへ相談に来て、今から自殺しますとか、自殺を決行していますということで、警察の力を借りて警察に連絡して、強制的にというか、自殺を止めるようなものを緊急対応といっていますが、やはり相談現場でもこの8月あたりから増えてきているという実感はありました。  同じく高橋聡美先生ですけど、女性についてはストレス要因が上がり、ストレス解消法が制限される。ストレス要因が上がるというのは、コロナ禍で当然ですが。その一方で、ストレス解消が制限されている。  子供たちの先ほどの指摘と大枠では同じですが、高橋聡美先生が指摘している点は、これは実際のデータですが、自殺男性のほうが多いが、鬱病は女性のほうが多いです。鬱病は女性が多いというのは、産後鬱が数としては多いです。ホルモンの影響もあると思われます。  ここに2点目が書いてありますけど、女性ホルモンが急激に変化をするときは、個人差はありますけど、やはり精神的に不安定に。男性は家の外にストレスを抱えがちだが、女性は家の中にある。子育て、介護、DVです。  コロナ禍でDVが増加。やはり家族の密度というか密接が増えて、外に出られないなどです。  女性はストレス解消法として、誰かに会ったり会話をするというのがありますが、このストレス解消法が制限されている。コロナ禍ではやはりおしゃべりがしにくいというのがあったりします。  もともと、何か危険事態を察知する能力は、女性のほうが高いのではないかというところで、新型コロナウイルス感染症に関する不安の察知も女性のほうが強いです。  あと、経済的要因です。女性の雇用環境のほうが新型コロナウイルス感染症で影響を受けている。新型コロナウイルス感染症の経済的なところでいうと、やはり弱い立場、非正規雇用、女性の雇用などが特に影響を受けたということがあります。  あと、もう一点が、著名人の自殺報道の影響もあります。  これは男性俳優ですが、2020年の7月、自殺報道後2週間で自殺者数の急増が見られた。  私たちの相談現場であっても、本年、一番相談数が増えたのは、本年の5月です。非常に有名なお笑い男性芸人が自殺で亡くなってしまったというのがありますが、そのときは非常に相談数が増えています。  自殺報道後2週間というのがやはり自殺者数が増えるというところで、私どもは、厚生労働省の予算の中でSNS相談をやっていますが、できる限り、そういった自殺報道が出てしまった後の2週間ぐらいは、相談員を増員できるようにということで活動しています。  これは女性俳優です。9月27日でしたが、やはり増えています。  ここまで大きく1点目は全国的な自殺傾向データを見てきまして、二つ目としては、その自殺傾向から特徴であったり課題を幾つかピックアップして見てきました。  三つ目として対策です。どういったことが対策としてあるのかというところを説明します。  まず、大きなところから、全体的な対策というので、世界保健機関(WHO)が上げている自殺対策実施ガイドラインというのがあります。ここをまず最初に挙げました。自殺対策ガイドラインでは、六つの基礎的な柱、まず、ここを基礎的な柱がありますよというので上げています。  まず、状況分析です。自殺データなどからどういった状況にあるのかというのを分析していく。自殺というのは多重要因。一つの要因ではありません。いろいろなところとやはり、多くのところと連携して、対策に当たっていくのがいいというところです。  三つ目は啓発活動です。人々の行動や態度の変容を促すことです。  四つ目が能力開発です。特に自殺対策に当たる人々のトレーニングです。あとは資金です。  六つ目のサーベイランス・モニタリングは、これは自殺対策をして、どれぐらいの効果があったか、どうであったかというのを検証することです。大きなところでは六つの基礎的な柱があります。これは後で資料を加えています。  先ほど説明したとおりですが、状況分析、多部門、いろいろなところと連携していく、啓発活動、能力開発、資金、検証です。世界保健機関(WHO)の自殺対策ガイドラインです。  もう一つは、この後説明しますけど、四つの効果的な介入策です。自殺対策としてです。  一つは、自殺手段へのアクセス制限です。私たちも相談の現場では、自殺、今から死ぬなどといった相談がある場合には、まず、目の前の危険を取り除くことをやっています。これは私たちの現場の例ですが、駅のホームからこれから自殺で飛び込むとかという相談も、数は決して多くありませんが、そういったときには、なるべくホームから引き離します。自殺手段へのアクセス制限です。  これはアルコール依存症の人がアルコールを見えるところに置かないようにするのと一緒で、例えば、包丁を見えにくいところに置くとか、簡単に取り出せないところに置くとか、そういったものです。  あと、先ほどから指摘がありますが、責任ある自殺報道です。ウェルテル効果というのが著名人の自殺で、特に自分と境遇が近い、あるいは感情移入しやすい人たちが自殺すると、自分が希死念慮、死にたいという考えを持っている層が影響を受けやすいというのがあります。  自殺報道を見て後追い自殺というか、それをウェルテル効果。ゲーテのウェルテルから取っていますが、ウェルテル効果というのが言われています。これは最近だと、マスコミが重々注意されていますので、特に自殺報道のところには、私どものような相談機関の窓口が必ずセットでついて、報道されていることが多いです。  例えば、2020年の9月に非常に著名な40歳の大物女優が亡くなったときには、30代、40代、共感しやすい、自分と同じような境遇の女性たちから、やはり相談の声が多く寄せられたというのがあります。  一方で、パパゲーノ効果というのは、あまり耳にしたことないかもしれないですが、最近、この報道というのは増えてきているのではないかなと思います。時々、こういったマスコミからも連絡が来たりします。
     どういうものかというと、一昔前にソリューションバンクという言葉が出たんですが、解決策をためていく。解決策を集めて、どうやったら解決できるかというのを社会の資源にしていこうというので、ソリューションバンクというのがありましたが、それと似ていますが、パパゲーノ効果というのは、死にたいぐらいに悩んでいたが、こういうことをしたら自分は立ち直っていけて、今は元気に暮らしている、仕事をしているよという事例、そういうのを紹介していくといいというものです。  だから、報道などでもウェルテル効果よりもこのパパゲーノ効果、こちらを意識するというか、進めていくと、自殺防止には効果的ではないかと思われます。  あと、青少年の社会情動のスキルの向上です。特に思春期というのは、やはり非常に心も体も発達、変化が多いときなので不安定になります。  公益財団法人日本財団が行った自殺に対する意識調査でも、やはり15歳から20代の若者たちが非常に希死念慮、死にたいということで不安定になりやすいというのが出ています。  そのため、社会情動スキル、自分のストレス、コミュニケーション、あるいは感情をコントロール、マネジメントするようなスキルを身につけていくといいということです。効果的な介入策の三つ目です。  四つ目が早期発見と早期介入です。これは私どもがやっているような相談機関というのも、この一つに入ると思われます。  自殺対策として大きな二つ目、あるといいかなと思われるので挙げています。援助希求とマインドセットです。  援助希求というのはSOSを上げる、ヘルプを求めるということです。よく私もスクールソーシャルワーカーとして学校でやっていると、子供たちが言ってくれないから分からない、言ってくれれば分かるのにというのをよく聞きますが、この援助希求というのが実は難しいというところがあるという。  マインドセットというのは、心構えであったり、考え方です。  SOSを出すことのハードルとなるマインドセット、SOSのハードルを下げる、SOSを出しやすくなるマインドセット、心構え、二つがあるかと思います。  自殺対策としては、SOSのハードルとなるマインドセットを、これを緩くして、こちらのマインドセットを広めていくと、効果的であると考えられます。  SOSを出しにくくするマインドセット心構え、考え方としては、相談は恥ずかしいという、相談するのは、自分は弱者というか、負け犬だとか、そういった考えです。これは、普通に持っていると思います、相談は恥ずかしいと。  あと二つ目、めそめそしない、強くしなさい、黙って我慢という、強さ、我慢を強調する。  これは、通常はいいことであると思いますが、追い込まれた人間にとっては、これがあるために、なかなかほかには言いにくくなるというのがあります。通常はいいと思います。  同じように、人に迷惑をかけてはいけないというマインドセットも、SOSを出すハードルになります。  相談現場でよく聞くのは、例えば中学生とか高校生が死にたいという相談に来ますが、周りに、お父さんやお母さんには言えないのかと聞くと、お父さん、お母さんとの関係は悪くないと言います。逆にいいぐらいだからこそ、お父さん、お母さんにはそういうことを言うと迷惑かけるからというので言えないというのがあります。  そのため、人に迷惑をかけてはいけないというのは通常はいいと思いますが、追い込まれた人間にとっては、こういったマインドセットが強いと、非常にせっぱ詰まって大変なところで、いざとなるとSOSを出せないことになりかねないというのがあると思います。  SOSを下げるマインドセットで、病は市に出せがあり、これは徳島県の旧海部町、今は海陽町での言い伝えだと思います。  日本自殺率が低い町ですが、病、病気、大変なこと、悩みというのは公の場に出せという、これは徳島県の海部町の言い伝えというか、よく言うフレーズというか、合い言葉というか、こういった文化があります。要は、自分のところだけで隠しているなと、大変なことがあったら、公にするのだよという教えがある。  こういうマインドセットがあると、相談というのは勇気を出して相談してねというんですが、実際にはそれが一番難しくて、勇気を出さなくても相談できるのが一番いいと思います。勇気はあったほうがいいのですが、自殺対策というところでいうと、勇気を出さなくても相談ができると非常にいいかと思います。  そのため、そういった雰囲気というか文化を創るのが、自殺対策としてはいいかと思います。  海部町では、こういった関心がある、だけど監視しているのではないというので、異分子を排除しない。  海部町の特徴を幾つか、大学の先生がレポートしていますが、いろいろな人がいたほうがいい。これ、多様性です。  おまえにもできることがある。やればできるとは違う。有能感、自己効力感、自己価値観とかよく言われるものです。  こういったマインドセット、考え方があるといいのではないかと思います。  あとは、SOSを見つける力と受皿です。見つける力、SOS、弱音、不調を発見する、見逃さない力、気づく力です。  ちょっとした相談事であれば、割とSOSを発信しやすいと思いますが、非常にパラドックスというか、逆説的ですが、事が大きければ大きいほど、SOSを出しにくいというのがあります、悩みの当事者としては。あるいは、事が大きくなって追い詰められていくと、心の病とか病的になって、そもそも人とのコミュニケーションがあまり持てなくなってしまうというのもあります。  そういった人に対しては、SOSを出すのを待つのではなくて、発見する、気づく、ここが大事かと思います。  あとは、せっかくSOSを出してもらっても、受皿です。  私が先ほど言いましたが、子供たち、どこかでSOSを発信していますが、そのとき、大人たちがたまたま忙しかったのか、あるいは、子供の話、子供、コミュニケーション、自分の思いをうまく伝えられなかったということもあると思いますが、しっかりと子供を理解して聞けなかったということがありますので、話を聞く力、そして対応する力が必要かなというところです。SOSを見つける力です。  それでは、SOSをどうやって見つけたらいいのかというので、課題ですが、これは大変に注意。少し単純化、シンプル化して言っていますが、大変には大きな変化という、変化が甚だしいことという意味があります。  先ほど休み明けに子供たち自殺が多いと言いましたが、健常者でも季節の変動であったり物理的な変化も含めて、変化というのは適応していく、慣れていくことにエネルギーを使います。  気をつけるべきところは、ここに書いてあるようなこういった大きなイベントがあるときです。こういったときにはやはり心が揺れやすいというのがありますので、特に注意できるといいと思います。  変化というのは、例えば、病気、けがとかマイナスの変化、事件、事故、災害、マイナスですが、こういったマイナスなことには限らず、入学とか入社とか結婚とか、いわゆるおめでとうと言われることでも大きな変化であれば、やはりそこで何らかのストレスを受けますので、そこも気をつけていくといいと思います。  もう一つは、SOSの受皿というところで、海部町のリスク管理術ですが、弱音を吐かせる、病は市に出せ、援助希求を促す、受皿の用意です。幾ら弱音を吐け、大変なことがあったら言えといっても、いってもらって、それを受け止める人がしっかり受皿として機能しないというのが一つあります。  それで、病は市に出せということを態度で示すことがやはり重要だと言っています。この病は市に出せを何百回発信しても、言葉だけじゃ足りない。態度で示さないと駄目。態度とは非言語メッセージです。口だけだと意味がないよねというところです。態度で示すということが重要かなというところです。  態度で示すというところでは、マーガレット・サッチャー首相の言葉ですが、考えは言葉となり、マインドセットという言い方をしましたけど、言葉は行動となり、行動は習慣となり、習慣は人格となり、人格は運命となるとありますが、最初にマインドセットを変えていく、考えです。  それがマーガレット・サッチャー首相は運命と言っていました、最終的には運命が変わると言っていますが、自殺対策ということで置き換えると、やはり考え方を最初に変えていく、マインドセットを変えていく、非常に時間かかるところだと思いますが、そうすると将来が変わっていくと思います。運命というか、自殺対策でいうと、将来、未来が変わっていくと思います。  最後の三つ目のマインドセットを変えるというところは、結構、大きな時間がかかるところだと思います。ある意味、教育は必要なところではないかと思います。  自殺対策のもう一つとして、SNS相談です。  SNS相談を最近やっていますが、SNS相談の利点としては入り口機能、相談しやすいというのがあると思います。心理的ハードルが低い。あと、必要な支援、身近な支援につなぐことができる。あと、リアルだけではつながりにくい人が来るというのもあると思います。  これは自殺総合対策大綱に載っていますが、障害の特性により電話や対面による相談が困難であっても、可能な限り相談できるよう進めていきなさいというのが自殺総合対策大綱には出ています。やはりリアル、面談や電話だけではなくて、それ以外の相談手段もあったほうがいいですよということです。  SNS相談をやっていて、全国でいろいろな自治体から受託して、SNS相談をやっていますが、よく相談者から聞こえるのが、公共、公的な相談窓口、係のところに行ったが、相手にされなかった。もう役所には行きたくないということです。SNS相談をやっていると、窓口で直接人に会わずに相談できるというので、SNS相談の窓口から来てという人がいます。  そういった場合に、最終的にはやはり必要な支援、身近な支援につなぎます。どうするかというと、やはり役所、公的なところの窓口などにつなぎますので、SNS相談はリアルにつながりにくい人をつなぐという役割があると思います。  三つ目は、面接や電話の代替として、今後はさらにこれが広まっていくと思います。  本日の話の三つ目のところで、対策としてどういったことが考えられるかというのを話しました。  NPO東京メンタルヘルス・スクエアは2012年にできています。  話をきちんと聞いて理解してくれる人がそばにいる社会をつくるという理念の下に設立したものです。  誰もが安心できる居場所づくりと、カウンセラーの育成。先ほどWHOの自殺対策の六つの柱の中に、能力開発というのがありましたが、それも一つ挙げています。  これはミッションです。先ほど言った大きく二つです。  実際にやっているのは、相談窓口、対面相談、それからほっとラインは電話です。  あと、珍しいかもしれないのが吃音ほっとラインです。  吃音の人は、直接会って話すハードルがあって、しかし話したいという欲求は多くあって、どうしたら話せるようになるかというので、コアというか、そういった悩みも持っていますが、そういった吃音の人向けのホットラインというのもやっています。  あとこころのほっとチャットというのはSNS相談です。そして、二つの柱のもう一つがカウンセラーの育成です。  活動として、2012年設立ですが、お話パートナー。実際に会って相談するのは、やはり増えているというところです。  特に今顕著に増えているのがSNS相談です。厚生労働省の自殺対策としてのSNS相談は、2018年3月から始めています。これは年々増えています。  2019年は1万件、2020年には3万件です。昨年度は4万件です。今、1日当たり大体100件程度です。だから、365を掛けると4万件ぐらいです。  これは無料の電話相談です。電話相談のほうはSNS相談と言いましたが、これは主にスマートフォンのLINEでやる相談ですが、SNS相談のほうが増えてきて、こちらの無料の電話相談のほうにマンパワーがなかなか割けないというのがあり、あと、2020年は新型コロナウイルス感染症で、事務所に電話相談員が来ることができなくなってしまったというのがあります。SNS相談については、そういった状況下でもテレワークを中心に今は実施しています。  カウンセラーの育成です。様々な研修会なども設けつつ、行っているというものです。  今後に向けてですが、今、もしかしたら皆さんで聞いたことがあるかもしれないですが、あなたのいばしょ、慶応義塾大学の学生がつくった24時間のチャット相談などとも協力して、SNS相談コンソーシアムというのをつくって、自殺対策をさらに目指して活動しています。  あと、もう一つ、これは新しいところではありますが、大学の研究室と非営利のIT専門家集団がありまして、そこと協業しAIによるリスクアセスメント、カウンセラーの対話アシストなどの機能を開発中です。  開発中ではありますが、実際には、今、日本は遅れているところであり、アメリカでは既にこれは始まっています。  少しだけ話しますと、今、1日に250件から300件の相談が来ており、それに対してカウンセラーが答えられるのは100件ぐらいです。  それでは、どの相談を優先していったらいいのか、どの相談がせっぱ詰まっているのかというのを、アメリカなどではAIで順位づけ、トリアージをやっています。LINEなどテキストのメッセージが来ますが、それをAIが読み込んで、この人は至急対応したほうがいいというのをAIがトリアージしてくれます。  優先順位が高い人から相談するのは、既にアメリカではやっていますが、今、そういった、同じようなことを開発中というのがあります。 2: (主な質疑) 【岡 明彦委員】  行政は対症法的なやり方は得意であるが、SOSのハードルを下げることは根本的な人のありようを変える話なので、極めて難しい。もし行政がそれを実行する場合には、SNSを使うことが、すぐに実行できることではないかと思う。  そこで、県として、SOSのハードルを下げるマインドセットについて、SNSを使うこと以外で考えていることはあるのか。また、参考人から見て、行政はどういうことができそうか。 3: 【こころ健康推進室長】  SNS相談相談しやすさを保証していくということに加えて、県民に気づいてもらうためにゲートキーパーの養成に取り組んでいる。 4: 【新行内参考人】  行政ができることは、かなり時間がかかることだと思う。根本的には子供たちの教育から進めていくのが最も効果的であると思うが、やはり時間はかかると思う。  また、現在、SOSの出し方教育が各地で進められており、その中に、マインドセットについても入れていくとよいのではないかと思う。  さらに、民間機関としては、啓発活動などを進めていくということも考えているが、愛知県においても啓発活動の中にマインドセットについて入れていくことができればよいのではないかと思う。 5: 【岡 明彦委員】  海部町の事例を見ると、再チャレンジができる、伝統的だが出入りが自由であまり束縛されないなど、極めて多様な物事が考えられるまちづくりができており、その中で子供たちが育っている。したがって、教育ではおそらく上手くいかないのではないか。  実は、ある学校とやり取りして、海部町の事例を参考に実験したことがあるが、コロナ禍であるとともに先生が変わってしまうので、長いスパンでの実験は難しかった。  教育で進めていくべきだと思うが、今の教育機関では限界があり、行政がどこまでするのかという話になると思う。  行政としてこういうことに対して対応できる施策をさらに考えてほしい。 6: 【谷口知美委員】  青少年の社会情動スキルの中に、マインドセットがあるのかなと感じた。  いろいろなことを思ったときの対処法をどのように身につけていくのか体系化されていけば、状況は違ってくると感じた。  日本では青少年の自殺が多く、韓国やリトアニアも多い。日本の特性や韓国と共通する特性があれば伺う。 7: 【新行内参考人】  ホフステード氏の文献で、全世界に点在しているIBMの社員を対象に文化を調査したものがある。その中で、1995年のデータでは、日本は男らしさ指標が100点満点中95点と一番高い。  めそめそしない、強くしなさい、黙って我慢しなさいというのは、まさに男らしさ重視の社会で、相談することのハードルを上げている。この男らしさについては、ホフステード氏の文化論だけではなく、最近では、有害な男らしさという指摘がある。  男らしさの全部を否定していないが、男らしさの中で有害な部分がある。具体的に、この男らしさは鬱病につながったり、一人で抱え込んだり、自殺につながったりするため、有害な部分があるのである。1995年のデータなので、現在の状況は分からないが、そういったところが日本の男らしさの指標と自殺率が関連していると考えている。これは先ほどの女性自殺率などにも関連している。  有害な男らしさに代わるものとして、最近、提唱されるのは、ケアする男性性であり、ほかの人をケアする、お世話する、見守るを目指していくのがよいとの指摘がある。  韓国と似ている特性については、儒教文化が似ていると言われている。  また、切腹など死んで責任を取るというのをよしとする文化が日本ではかなり根づいており、現在に影響していると思う。 8: 【谷口知美委員】  長年続いた何かが根づくこともあると感じていたが、そこを変えていかないといけない。県も、様々な啓発をしてほしい。  ほかの国では若い人たちがあまり自殺しない一方、日本だけ自殺者数が多いことが、大きな問題だと思っているので、様々なことを教えてもらいながら、頑張っていきたい。 9: 【中村竜彦委員】  自殺者の年次推移を見ると、日本ぐらいの規模の国は、平均的に2万人が自殺する。しかし、平成10年から23年までの間のみ3万人になっているのは、経済不況が理由であるという認識でよいか。 10: 【新行内参考人】  バブル崩壊での経済的要因が大きいのではないか。 11: 【中村竜彦委員
     そうすると、急に景気が悪くなった場合とは別に、平時にも約2万人の自殺者がいるところをどうするのかが、大事なんだと思う。そうしたときに女性の倍の男性が恒常的に自殺しているということは、切腹の文化や責任の取り方など、男らしさみたいなものはあると思う一方で、職業別で見ると、被雇用者・勤め人である女性自殺増加している。  そうすると、女性男性の生物としての違いや文化の違いがある一方、男女雇用機会均等や女性活躍社会が推進され、女性男性も真に平等に活躍する社会になると、この自殺者数は、女性男性に追いつく可能性はあるのか。 12: 【新行内参考人】  非常に貴重な指摘であり、答えるのが難しく、予測できないところである。  私の予想としては、男らしさだけではなく、ケアすることも重視する社会になるとともに、男女平等が進んでいくと、男性自殺率がもう少し下がり、女性自殺率も上がらずになっていくのではないか。希望的観測かもしれないが、そのように願っている。 13: 【中村竜彦委員】  なぜ自殺に至ったのかという分析がしっかりされるほど、どのような対策が必要だったのかが分かると思う。現在では例えば、被災者や多重債務者、生活困窮者には、行政がフォローすることができるが、自傷行為をする人や精神病の人については、カウンセラーに話を聞いてもらい、治療を受けるしかないと思う。  また、個人的には、タレントが亡くなると便乗して亡くなることが不思議でならないが、そういうことをどのように防いでいくのかについては、より分析していくことが解決につながる気がする。現在、何人亡くなったとか、このような可能性があるという羅列に終わってしまっているが、そこをどこまで踏み込んで聞くのか。 14: 【こころ健康推進室長】  健康問題を原因、動機とした自殺者数の統計はあり、警察庁のデータであるが、昨年、健康問題で亡くなった人は、県内で619人である。  その中で、健康問題の中で何が多いのかについては、やはり鬱病によるものが男性で124人、女性で137人と一番大きく占めている。その次に、身体的な病気によるものが男性で134人、女性で80人である。統計上は鬱病が一番大きな動機であることは分かっている。  したがって、精神疾患の中でも、鬱病対策が大事であると捉えている。鬱病と自殺は症状の一つであり、希死念慮が鬱病にあるというのは、そもそもの病気の特徴であるので、うつ病家族教室を保健所で行っている。家族が集まって、うつ病本人への対応を分かち合っている。そこで本人が少し感情をリセットして、また落ち着いて対応ができるようになるという鬱病の家族教室は大事であると思っている。  また、かかりつけ医に対しての研修を医師会に委託して実施している。これは、もしかしたらこの症状は鬱ではないかというように、かかりつけ医に認識を持ってもらうために、県として重要視して行っている。 発言が指定されていません。 Copyright © Aichi Prefecture, All rights reserved. ↑ 本文の先頭へ...